9月の月末に会社の通訳である陳さんの実家に遊びに行った。
南京大虐殺で有名な南京博物館がある南京が彼の実家のある地域だ。
博物館も言ってきたがその話はまた今度で。
最近の学術研究によると、親がいくら教育に頑張ってもその効果は殆ど無いという驚異的で絶望的な結論が論文で紹介された。
確かアメリカの教育研究機関だったと思う。週刊東洋経済の記事だったかな。
そこにはこうある。
曰く、その人物がまともに育つかどうかはよりまともな集団のいる環境下で育つかどうか?
だそうだ。
身もふたもない。
つまり、超学歴社会のある意味勝利者である超絶進学校に言っている人はその周りの環境が学歴社会を勝ち抜く人物へと育て上げるという話。翻って、バカ校に進学するとバカしか育たないという本当に身もふたもない。
劣悪な学習環境でも、心根やさしく、優秀でまともに育つ子供はいるが、その場合たいてい師匠(メンター)が存在し、その師匠の影響下で自分をコントロールするから稀有な存在に育つのだそうだ。
なるほど一応、理屈は合ってそうだ。
で、
話は戻って、我らが通訳、陳さんは若干26歳の好青年。ちょっと身長が低いのがコンプレックスのバスケが大好きな若者だ。
20万人の受験生から上位20%4万人が合格して入る事が出来る国立大学の狭き門を突破し、さらにそこから所謂、地域の精鋭大学と言われる国家重要大学に所属する名門へ進学した秀才。それでも超一流の北京大学や精華大学と比べるとかれは2流の大学なのだとヘラヘラ笑っている。
自分は田舎者だから、学歴を上げる事でしか地元を離れる力にはならないとこともなげに言う。その割にはとても給料が安い通訳なんて仕事をしている。彼自身非常に優秀で英語も堪能なので、日本語の通訳なんかやらなければ他にも学歴的に儲かる仕事はあるだろうに。
それについて聞いてみると、『私は日本語を学びたくて大学へ行きました。それで仕事をしなかったら、無駄です。』『日本語を使って仕事をした結果、給料が安いのはそういう分野だから仕方がない。』という。
こんな良い奴日本だったらなかなかいない。
そこで、ずっとかれのルーツが気になっていた。
どうやったら、こんな偏った中国なんて国でこんなまっすぐな奴が育つのか?気になって仕方がなかった。
で、同僚と彼と3人で行ってみた。彼の実家へ。
もう、お父さんお母さんはもとより、お姉ちゃんもその旦那さんも、幼馴染も親戚も、みんな集まってきて、それはそれは歓迎してくれた。特に岩みたいな顔した頑固おやじの権化のような彼の父親が、ぼそぼそとしかしはっきりとしゃべる言葉は言葉以上の重みと厳愛が込められている様で非常に心に響いた。
色々食べきれないくらいのごちそうを、ふるまってもらって、さあ帰ろうというときに、彼の母親が『お前は通訳なのだから、彼ら日本人と同じホテルに帰りなさい。』『彼らはあなたが居ないと困るだろうし、それがあなたの仕事でしょ。』と言っていた。彼は『大丈夫。ホテルくらい何とでもなるし、彼らはその位の言葉は理解している。』
そしたら母親が間髪入れず『じゃああなたの仕事要らないじゃない!』だって(笑)母は強だ。
でも、それだけ歓迎して気を使ってくれたのが嬉しかった。中国語で大丈夫ですよと丁重にお断りして、我々は彼の幼馴染のご家族の車でホテルまで送ってもらった。通訳の陳さんも一緒に来て彼は自力でタクシーで帰った(笑)
タバコさえ吸わなきゃ完璧超人なんだけどな~と思っていたが、彼の家族を見るに一番の悪役は実は陳さんか?(笑)と思ってしまった。
その位、ご両親、親戚、幼馴染は素晴らしい人たちだった。
これも何かの縁なので、必ずや彼らの想いに私は応えてゆきたい。
一度結んだ信義の絆は生涯大事にしてゆきたいと思う。
写真はその時の物を適当に貼り付けました(笑)
御馳走になった食事のメニューたちと彼の実家の外観。
現役で使っている井戸と記念写真でとった集合写真です。
一番後ろで目をつぶってしまっているのが通訳の陳さん(笑)
しまらね~!