私が日頃大事にしている考え方に『臨終只今』と『臨終正念』と言うものがある。前者はいつ死んでも悔いなく生きる事を示し、後者はそのような人生は尊厳をたもった崇高な人生に通ずるという意味です。
そんな映画や小説になる人生を歩んできたつもりは無いですが、常に今がベストであると思って生きてきました。だから正直、私には戻りたい過去がありません。昔は良かったとか高校時代に戻りたいとか大学時代に戻りたいとかそう言う帰りたい時代が全くありません。常に今から。常にこれからです。どんな苦境や困難な状況に居ても。
それは今も微塵も変わりませんが、時折この考え方を復唱するときがあります。大体それは自分がピンチの時なのですが。そのときはいつもこう考えています。今この状況は首の座だと。白装束を着て首を刎ねられるその場にたたずんでいると。その瞬間、自分は満足がいく覚悟が示せるか否か。
いつも答えは決まっています。26歳で、もとより無くしたこの命、何の悔いも無くここまで生きてこれたのはあの時の決意があったからだ。だから今もその覚悟に変りは無い。生涯の師匠にも恵まれた。その師匠にもお会いでき、声まで掛けていただいた。自分の戦いきった姿でお会いできた。悔いは無い。
と。そこまで考えて、その先は心が静まります。これからもずっと、何かが起きるときに思い出すのでしょうが、その時の決意もまた今と同じ、『臨終只今』の心持なのだと思います。
最後に勘違いしないでもらいたいのは『死』を賛美している考え方ではなく、生きて生きて生き抜くために必要な考え方である事を断っておきます。