トマの日記

忘備録、雑感、所感などを日記形式で書き綴る。昔はノートに日記を付けていたけれど、ノートを持ち歩かなければいけなかったので、ブログ形式でWeb更新出来る様に変えたのがきっかけ。

日本企業のものづくりを超える中国企業

中国に住んでいて、人間的に日本人を超えるものづくりは不可能だと確信したと前に言った覚えがある。その理由はいくつかあるが。

1.お金にならんことをやる気が全く無い。
2.損して得取れが解らない。
3.根本的にやる気が無い。
4.働くのが基本嫌い。


これを日本人だとこうなる。

1.仕事の為ならサービス残業、休日出勤厭わず。
2.損して得取れだが、損しっぱなし。でも死んでも働く。
3.ヤル気と根性が世界トップレベル。報われる事は絶対無いのに。
4.働かざるもの食うべからずがDNAレベルで刷り込まれてる国民性。


だから絶対に日本的なものづくりは最先端の思想部分は中国では真似できないし再現不能だと当時結論した。でもその状況がここ1〜2年で変ってきている。これは憂慮すべき事態だ。中国の中に、中国の中小企業の中に『進化』した企業が現れ始めた。

(記事抜粋)

「この2年間、労働災害はゼロ、不良品はほとんど出さなくなりました。機械の停止
回数も格段に減りました。社員の士気もあがり退職者もほとんどなくなりました」
と責任者は言う。

そんな工場もつい2年前まではひどい状態だったようだ。

「以前は、とにかく労働災害が多く出ていました。設備の故障個所から油が漏れだし、
それに滑って怪我をする労働者がたくさんいたのです。不良品は数えきれない程多く、
受注をしては品質不良で次の取引を次々と失注するというありさまでした」

2年前に起こった労働争議をきっかけに、この中国人の工場オーナーは、真剣に会社
を良くすることを考えたのだという。

労働争議が多く、たくさんの労働者が辞めていきました。もう、工場を閉めるしか
ないと何度も考えたほどです」

そこでオーナーが考えた打開策は、『日本の工場に学ぶ』ことだった。日本の工場や、
中国に進出してきている日系の工場を見学し、そこで『5S活動』、『TQC(トータル・
クオリティー・コントロール)活動』などを知った。

「早速、日本から5SやTQCなどの改善活動ができる先生を呼びました」

当初は、日本人を工場長にして、日本式工場経営を徹底しようと考えた。しかし、日
本人の工場長に命令されて中国人が果たして本当に従うのか、オーナーは疑問だった
という。

「『面従腹背』という言葉があります。中国人はプライドが高いですし、押しつけら
れて現場の労働者が納得するとは思えませんでした。けれども、日本には素晴らしい
工場、非常に合理的な工場の管理手法がある。それを徹底的に学ぶことができないか。
それを中国人が学び、中国人によって中国人の意識を改革する方がよいのではと考え
たのです」

そこで、最初は日本から改善の指導者を呼び、その後、2年間、毎月1回の指導を受け
て、トップ自らが率先して工場の改善に乗り出したのだという。

日系工場で働く中国人には、彼らが感じる日本人管理者像がある。「中国人を育てる
意識がない」「中国人を最初から信用していない」「精神論がほとんどで、とにかく
頑張れの一点張り」「結局、日本の本社に相談しないと何も決められない」「何かを
始めても2〜3年ぐらいの配置転換で帰国してしまう」といったものだ。私は中国の日
系企業で働く労働者から、何度も同じ話を聞かされてきた。

「最初の1年間、改善は無理ではないかと何度も諦めかけました。それほど、当初、
現場にとっては、改善は受け入れがたいものだったのです。しかし、1年半ほどで効
果が現れてきました。このころから幾つかの改善のための小集団活動が生まれ、自主
的な活動を始めたのです」

目を潤ませながら「工場の奇跡」を私に語ってくれた中国人オーナーは、最後にこう
締めくくった。

「変わらないということは、ただ死を待つということなのです」

(記事抜粋終わり)

最後の一言はまさに日本企業にも言える。また進化と言う観点からいったら、まさに今回の中国人経営者の言葉がそのまま当てはまる。中国の中小企業は2010年頃をピークにガンガン景気が悪くなって潰れる企業が続出している。中国は景気がいいと思っている日本から見ると意外に写るだろう。でも実際は違う。何をやっても儲かった時代はとうの昔に終わりを告げて生半可な経営努力では食いつなげなくなってきたのが2010年だ。そこから国全体ではまだましだが日本同様大企業を延命するため中小企業が食いつぶされる状況が発生しているのだ。


その悪化の一途をたどる環境で変る事を選んだ中国人経営者の進化が今回の記事だと思う。日本のものづくりや品質はもちろん日本人特有の職人気質によるところも大きいだろう。でも、根本は世界で勝つ為に必要な能力だったという事だ。つまり、生存競争に勝つ為に高品質を量産できる体制に進化した結果得られた能力だったと仮定するとわかりやすい。生物が進化するのと同じ。この原点を私は見失っていたのかもしれない。


中国人経営者も同じである。生きる為にあらゆる事が削げ落ちて、本気で変らなければ座して死を待つのみと『決意の一人』が誕生した事でこの会社は変ったのだろう。


こういう会社がきっとこれからたくさん出てくる。こうなると今の日本では対抗できない。もう相手はただの中国人ではないからだ。日本式進化を遂げた中国人には正直日本人ではかなわない。彼ら彼女らのハングリー精神は今の日本人の数百倍だ。語学も学習意欲も日本の比じゃない。もう圧倒的に追いつかない差を中国につけられてしまう危険が今そこにある事を認識視する記事を見た気がした。