トマの日記

忘備録、雑感、所感などを日記形式で書き綴る。昔はノートに日記を付けていたけれど、ノートを持ち歩かなければいけなかったので、ブログ形式でWeb更新出来る様に変えたのがきっかけ。

後任の人選

いよいよ来年2013年は赴任期間3年の満了期だ。長いようで短かった3年間が終了を迎える。仲良くなったオネーちゃん達が名残惜しい…じゃなかった。


あっという間の赴任期間で遣り残した事も一杯あるしなあ。結局2年間はろくに仕事も出来なかったように思う。3年目に入って重要度の高い案件もこなせるようになってきた。この3年で業務レベルは格段に上昇したと思えるが、それでもまだまだ実力不足と思うし、語学はもっと英語を出来るようにしたかったと思う。中国語もビジネスレベルまではまだ到達していない。


そんな中、後任の人選がされていると言う噂が飛び込んできた。この間、『トマさんだけは煙すら立ちませんよね?ワラ』と後輩やら先輩やらに言われ続けていたので、きっと原隊の人たちは私の事など綺麗さっぱり忘れているのだろうと思い続けていた。ところが、忘れていなかったらしい。まあ、本音は忘れて居たかったのだろうが、今年の夏休みに帰省したおり、直属の上司と元上司に



『私来年戻してくれなかったら辞めますよ!』



と言いまくったのが功を奏したのかもしれない。独身のままなら、別に5年でも10年でも中国にいてなんなら永住権でも獲得しても良いのだが、結婚するとなるとそうもいかない。彼女の家族にも配慮しなければならないし、そうでなくても、年老いた両親の事が心配だ。


ただ、問題の後継者なんですが。これが申し訳無いが私よりは見劣りがする人物。当然仕事の経験でも残念ながら私よりは格下だろう。年は私よりだいぶ上だが。転職組みなので後輩にあたる。海外赴任経験こそ無いものの、長期出張経験は豊富で語学が堪能らしい。ただ中国語はマスターした訳ではなさそうだ。


まあ、私も3年前は中国出張経験すら無かった訳で、それから考えれば希望赴任地海外なんて人材なのだから、多分腹は決まっているのだろう。ただ、正直今後展開されるビジネスの内容と業務を考えるととても1年、2年、しか経験を積んでいない人物に任せるのは荷が重過ぎる。過労で倒れても不思議は無いと個人的には思っている。


今までなら、自分から手を上げて『私が残ります!彼にはまだ無理です!』と進言しただろう。例え後任者の怒りを買ってでも、後任者の本人の為に仕事を買って出たと思われる。元来お人好しの性格なのか、馬鹿なのか自分では解らないが、お陰で私はここに3年もいる訳だ。3年前当時、選抜者だった2名は今回も断ったらしい。


新規選抜のメンバー一人も断ったので経験不足の後任者が槍玉に上がったのだそうだ。申し訳無いが、潰れるなら潰れてもらおうと心を鬼にしている。もしかしたら、化けて上手い事仕事をこなしてしまうかも知れないし。人間追い込まれると急成長する人間と潰れる人間がいるので前者だと思って交代しようと思う。


今までに無い選択を私はした。彼には酷な話だが、中途採用の傭兵組みは常にプロとして一段上の成果を求められる。生え抜きの面子より、腕前を期待されたから中途で雇われているのだかそれは仕方のない事だ。まさに『お手並み拝見』である。それで潰れてしまえば看板に偽り有りな訳で今更『出来ませんでした』は通らない。


もしも、彼が潰れたら、トマの株も上がるだろう。私はそれが嫌で彼の代わりに自分の赴任が伸びても良いと考えていたのだ。人の屍の上に築かれる功績なんて長続きしない。今まで、何社か転職した中で感じた部分だ。最初の会社は私がやめた後、倒産した。次の会社は私が辞めた後、売りに出された。いずれも自分がいた頃は飛ぶ鳥を落とす勢いで儲けていた会社だったが人の屍を踏み越えて商売をしていた。それが嫌なのが辞める原因の一つだった。


その自分が等々、理由はどうあれ、同じような事をしようとしている。これは悩んだ。自分の事なら諦めがつく。腹も括る。自分が耐えれば良いし、自分が強くなればよいのだから。でも人にやらせることがこれ程辛い想いをするとは…。管理職クラスはこんな思いをして部下達を戦地へ投入しているのかと思うと本当に頭が下がる思いだ。またそれが出来る冷酷な一面がないと勤まらない職責なのだろう。自分は管理職に向かない。部下を死地に送り込む戦国大名みたいに割り切れないから。部下の成長のためにはきっと無理だと解っていても残酷に実行しなければならないのだろうが。私には出来ない。少なくも今の私には無理だ。同じ同僚にすら、彼の身を彼の家族の身を案じてしまう甘い自分には無理だ。


でも、今回は自分だけの都合で動く訳には行かない。しがらみと言えばそうなのだろうが、同僚を苦難の有る職場へ送らなければ私が復帰できない。今の私に何が出来るのだろうか。彼にもしもの事が有っても、助けてもやれない。出世しないってのはこういうことだ。管理職なら部下も守れる。自分の部下ならサポートも大手を振ってしてやれる。横並びの同僚では『お前は自分の業務をおろそかにして何をしてるんだ?』と言われたらそれまでだ。


自分の非才ぶりに嫌気がさす。でも今回は引かない。答えは出ていないし、今後も出るとは思えないが。