トマの日記

忘備録、雑感、所感などを日記形式で書き綴る。昔はノートに日記を付けていたけれど、ノートを持ち歩かなければいけなかったので、ブログ形式でWeb更新出来る様に変えたのがきっかけ。

いじめの現場

凄いブログ記事を見かけたのでコピペします。

先日、帰宅したばかりの私に息子がこんなことを言ってきた。

「あのね、今から先生が来るかも知れない」

時間は18時を過ぎているし、家庭訪問の予定もない。

一体、先生は私に何の用があるのかと思い、息子に尋ねた。

「それは僕がいじめられていたからだよ。○○菌とか言われていじめられていたからだよ」

息子は普段通りの口調でそう言った。

一瞬、頭が回らず、理解するのに間が生じた。

「ああ、そうなのか」と理解してから私は落ち着いて息子に話しかけた。

「なんですぐに私に言わなかったの?」

「まだそんなに大変じゃなかったんだよ。全く別のところから僕がそんな事をされてるってバレたからね」

どうやら、他の子達の間でトラブルが起きた際、息子の○○菌と言うのが一因になっており、それに先生が気づいたと言うことらしい。

これはすぐに先生の話を聞かねばいけないと思った。

家から学校が近いこともあったので「いつ来るかわからない先生を待つより、学校へ行って来るわ」と息子へ告げた。

「それなら僕も行く」と息子は平然とした表情で答えた。

「あのね、行きづらかったら私だけ行ってもいいんだよ」

「別に平気。」

息子はそう言いながら玄関で靴を履いていた。

学校までの道のりをスキップするぐらい軽い足取りで歩いていく息子。

抱えていたであろう心配事が少なからず改善されるであろう未来に喜んでいるのであろうか?

学校へ着き、職員室を覗くと担任ではなかったが、6年生の先生が私に気づいてくれた。

「あ、林(息子の担任)ですね。少々お待ちください」

私の顔を見ただけで、すぐに判断したことから察するにきっと学年での話し合いがあったのであろうと思った。

そのような事柄に学校は敏感である。

しばらくして林先生が疲れた顔でいらっしゃった。

「お母さん…本当にすみません。わざわざいらっしゃってくれて…」

「いえいえ、近いから良いんですよ」

そんな会話をして校長室へ通される。

教頭と林先生が並んで座り、その斜向かいに私が座った。

息子は最初、私の横に座っていたが、しばらくして他の先生と別の部屋へ移動した。

しばしの沈黙の後、林先生は話を始めた。

まず、息子が「○○菌」のようないじめを受けていたのは5月中ぐらいからだと言うこと。

それからクラス28人のうち、半数以上がそのいじめに関わっていたこと。

それを始めたキッカケにあたる明確な出来事がないこと。

そしてそんないじめがあることに林先生が全く気づけなかったこと。

それらを辛そうにゆっくりと説明してくれた。

私は思っていたよりだいぶ冷静だった。

なぜなら、私は「いつかこんなことが起こるのではなかろうか?」とずっと思っていたからである。

林先生は話を続けた。

「家庭訪問で伺わせて頂いた時に、ハルトくん(息子)がいじめの対象になり得るタイプであることや、入学式でお母さんが見かけたと言う気になった行動も全て聞いていたのに、何も気づいてあげることできませんでした…」

私は息子が「いじめの対象になり得るタイプ」だと先生に告げていた。

それは1年生の時から担任が変わる度、毎年同じように伝えている。

そう思うのには理由がある。

1つは興味対象が他の子とだいぶ異なっていること。

それからもう1つは、息子の正義感が強いこと。揺るぎない正義感は時に同世代には目障りと映るのでないかと思っていたのだ。

今回、目立ったきっかけがないコトから考えてもそんな理由なんじゃないかと思っている。

先生にもそう伝えた。

「大人が見て、何も悪くなくても子供社会ではうざがられて、時としていじめの対象になるんだと思います」と。

もちろん、それは許してはならない行為である。

「ハルトくんは立ち向かってたんですよ。『僕の何が悪くてそんなことするの?』と直接言ったり、『○○菌』と言って来る子達がいるところへわざわざ行って、本当に自分を避けるか確認したりしてたらしいのです」

林先生はおっしゃった。

ハルトっぽい行動だなと私は思った。

質問に答えられない相手をみて「自分は間違っていない」と再確認したのであろう。

「ハルトくんは自分自身を持っているし、芯もしっかりしていると思います。私達の手伝いも委員会もよくやってくれますし…それなのに、こういうことをする子ども達がわかりません。いじめについての話もずっとしてきているのに…」

林先生は信頼していた子ども達に裏切られた落胆で疲れ切っていた。

子ども達はテレビでの報道や先生からの話を聞いたりし、「いじめ」は良くないことであると認識しているにも関わらず、いざ自分の周りで起きると全く別問題と考えている様子だったようだ。

今回、息子が「いじめられている」と気づいた先生は、5時間目を他の先生にお願いし、校長室で息子から話を聞いたのだと言う。そして、話を終えて教室へ入った時、何も言っていないにも関わらず「先生、ごめんなさい」と言ってきた子が数名いるのだとおっしゃった。

「きっと、ハルトくんと私がいない時点で『あ、ばれた。まずい』と思ったんでしょうね。それで取りあえず、謝っておこうと思ったんでしょうね」

林先生は続けてこう言った。

「だけど、それは自分の罪の意識を軽くしたいだけなので私は許しません。ハルトくんがどんな気持ちで過ごしたのかを考えるまでは許さないんです」

それを聞いて、私はひとまず、学校での対応はこの先生に任せておこうと思った。

先生「いじめを止める子もいなかったなんて…。最初は止めようとした子もいたみたいなんです。だけど…。1人で言えなかったら2人、3人でもまとめて言ってくれたら良かったのに」

私「でも先生。そうは思いますけど、そこの壁って高いですよね。いじめを先生に伝えることは子どもにとってかなり勇気がいることですもんね。……でも私も勇気を持って伝えて欲しいと思います」

先生「そうですね。大人である私達はずっとそれらを伝え続けていかなければいけないですね。ずっとずっと…。この先、またハルトくんに同じことが起こるかも知れませんし、また別の子へ向けられる可能性もゼロではありません」

教頭「この小学校は全員同じ中学へ上がりますので、小学校での問題をうやむやにしてはいけないんです。そこで中学校への橋渡しが出来なければ、それは解決にはならないんです」

私「今、7月じゃないですか。すぐに夏休みがやってきます。またフラットになってからの2学期にどう対応していくかもひとつのカギですよね」

先生「そうですね。2学期は行事も多いですし、皆での思い出を作る時期に誰かが辛い思いをしているのではいけないと思います。やはりなかなか伝わらない子もいるかも知れませんが、私達がずっと言い続けましょう」

そんな話し合いをした。

私は最後に先生へこう言った。

「また、ハルトがいじめの対象になった場合、ハルトは私にそのことを伝えてくれると思います。そしてハルトではなく、別の子がいじめられた場合、あの子は間違いなく先生に伝えるはずです。あの子はそれが出来る子ですから」

「私もハルトくんは間違いなく伝えてくれる子だと思います」

先生がそうおっしゃってくれたのを聞いた時、私の目からポロリと涙がこぼれた。

11歳のこの子はいつの間にこんなに信頼を得られるようになっていたのであろうか?

私の知らぬ息子の姿を想像し、また一粒涙がこぼれた。



いじめはいじめる側がいかなる理由が有ろうと100%悪い。それは核兵器をつかった国がどんな大義名分を掲げようと許されないのと同じだ。