現在のAIは数字や理屈の世界から出ていません。数字や理屈で表せない世界をどう扱っていくのか。三途の川のような夢の世界もその一つかもしれませんが、コンピューターはいずれ、こうした領域にも入り込んでいくでしょう。
(中略)
その先は、勘だけではなく全ての人間の判断を模倣できるようになる。私はそれを、判断の「判」を取って「ハンピューター」と呼んでいます。そうなった時、人類の脳とAIの差はよく分からなくなる。つまり、人類はAIと「二人三脚」で歩むようになるはずです。
そんな世界では、思考が他者に瞬時に伝達する「テレパシー」のような技術も、人類は手に入れているかもしれません。例えば、落ち葉に火をつけることを想像してください。1枚の落ち葉に火をつけると、周囲の枯葉に徐々に燃え伝わって、遠くにある落ち葉もやがて燃え始めます。しかし、これがある落ち葉を燃やした途端、瞬時に遠くの落ち葉も燃え始めるような、そんなことが可能になる世の中になる。
落ち葉につく火は、アイデアの火です。ある人が思いついたアイデアが、瞬時に他者の思考と共鳴して、判断を下したり、イノベーションを生み出したり。要するに、私が昔から主張している「共創」は加速する。それに向けて、人類も進化していかなければならない。
そうなるには、どのような技術が必要かですか? それは、三途の川から戻ってきた私なんぞではなく、若い人たちが考えることです。
一つ、アドバイスできることがあるとすれば、もはや、人類もコンピューターも、数字や理屈だけを頼りにしていてはダメだということです。テレパシーや念力といった、これまでは人知を超えた世界だと思われていたような現象も、科学の力で人類の未来にどのように活用していくかという発想が、これからは求められる。そういうことまで考えないと、人類はコンピューターに使われるような世界になってしまいかねない。
人類が高い志を掲げて進化し続ければ、100年後の日本、そして世界は安泰です。
↑
日経ビジネスより。
シャープ元副社長『佐々木 正』氏が102歳でこの1/31に永眠されました。
電卓の生みの親であり、今のAIにまで発展する電子技術の親と言われた生粋の技術者です。京大出身の佐々木氏はちょっと前に日経のインタビューに上記のようなコメントを残しています。
彼の結論はこうです。
- 夢の世界もコンピューターの領域に入る。
- 人類はAIと二人三脚で歩む。
- 数字や理屈だけの世界は終了。
とても含蓄深い考察です。
このインタビュー冒頭氏は三途の川を見てきたと言います。そしてこの考えた発想はそんな100歳を超える私が作る技術では無くて、今の若い人が考える技術だと。
AIが今非常に注目を浴びて今後発展しそうな期待が集まっています。
それに加えて、ターミネーターの様な未来を予想し、警戒する人たちも少なからずいます。
佐々木氏はこう予想します。1.の夢を技術に変える。テレパシーのようなものを人類は技術的に手に入れる。AIを仲立ちにして、一人の発想を瞬時に全体の他に伝播し、『共創』できる社会になると。
技術そのものには善悪の色はありません。
人が、他の何かが善か悪かに色分けするのです。
AIがどんなに発達し、人類と区別がつかないほどの能力を獲得したとしても、私は究極の部分は人類に届かないと思っています。あらゆる事を学習し、究極までに進歩を遂げたAIが唯一獲得できないもの。それは『生命』そのものだと思います。その生命こそ、氏が求める『発想』の源泉であり、それが絶えた人類こそAI以下になってしまった人類使われる側に転落した姿だと思います。
進化と進歩は決定的に違います。
進歩とは今までの延長線上です。
進化とは前例のない場所へのジャンプに他なりません。
この進化は生命が獲得した唯一、機械やAIに勝る部分だと私は思っています。
なぜなら、もしこの宇宙に究極に発達したAIが存在したら、同じ能力をもったAIを量産できる機械化文明みたいなものが、恐らく全宇宙に広がってすぐお隣の銀河あたりで増えているハズです。しかも機械である彼らは疲れませんから、あっという間に広がっているハズ。でも今の所そうなってません。
進化の重要性に気が付いたAI文明がもしかしたら、まだ生命が根付く星を保護しているのかも知れませんが(笑)極論、AIの限界は『進化』に基づく、次世代への継承が頭打ちになる事だと私は予測しています。
佐々木氏のコメントを読んで、期待される若手になりうる様に成長したいと決意を新たにしました。私で無理なら、次世代に期待しましょう(笑)