『竜とそばかすの姫』
ドルビーシネマで鑑賞してきた。
お値段1700円。
まあ、2400円取られた閃光のハサウェイよりは実は面白かった(笑)
元々監督の細田守さんが好きで、サマーウォーズも見てたので、相変わらず、仮想世界の演出の妙はさすがだなと感心した。
作家としての才能はないとか、いろいろ矛盾があるとか方々で、何が気に入らないのかボコボコに叩かれている一方で、大変高い評価をくれている人達もいる。
もはや、これは好みの問題で、賛否両論がハッキリわかれている作品こそ私は名作だと思う。
そもそも、劇場版なんて、短い時間に色んな想いや、物語を突っ込む都合上、ご都合主義もあれば、矛盾や説明不足はあって当たり前だと思う。原作が無いオリジナル作なら尚のこと。
でも、あの映画は間違いなく、訴える力は物凄い熱量でもっている作品だと私は思う。
6歳の子供が、しかも女の子が、目の前で「行かないで!」と母親を引き留めたのに、見ず知らずの子供を救うために命を投げ出したのを覚えてるって、本人にとったら、地獄以外の何物でも無いよ。
父親が、自分の娘を励ますシーンで他人行儀って批判もあったが、あれが父親なりの最大限自身の娘を想った表現だったであろう事は想像にがたくない。普通の父親、父性なら、無視する、あきらめる、恫喝し、力で従えるようになったかもしれない。でもあの父親はそうしなかった。あくまでも、自分の地獄のような心持にいる娘に一人の人間として向き合った、向き合い続けた成果なんではなかろうか。
父親もさぞ、地獄のような日々だっただろう。
でも、負けなかった、くじけなかった、あきらめなかった。
父親の最後のシーンはそう言った意味で、父親の勝利の瞬間だったと私は受け取った。
最後の子供二人を主人公の女の子、鈴(すず)が救うシーン。
一人の立ちはだかる女の子を大の大人が、屈強な暴力親父がそんなに怖がるか?
という批評があった。それを聞いて私は思ったよ。
あんたいじめられた事ねーだろ・・・。
ってな。
明らかに自分が上にもかかわらず、力も、立場も。
それでも、諦めずに立ち上がる、向かってくる敵ってのはそういう安全地帯から、権力を振う側からしたら、無性に怖いんだよ。
理解できないから。
私には解るとか言っちゃうと監督の演出に水を差すのでそうは言わないが、そういうもんだと私は思っている。権力側と戦ったことがある人なら解っていただける。共感してもらえると思う。
ああ、この人(この監督)きっとマイノリティーだった事ある人だろうなと思った。よくも、これだけ十代の女の子を主人公にドロドロにならず、ドロドロの地獄を描き切ったと賞賛したい。
いくつもの社会問題をしっかり切り取って、監督なりに消化しているあたり、素晴らしいと拍手を送りたい。最近2回見たい映画が色々あるが、今年の見た映画では断トツ細田守監督の『竜とそばかすの姫』だわ。
是非多少高くても、ドルビーシネマで鑑賞されることをお勧めします。