トマの日記

忘備録、雑感、所感などを日記形式で書き綴る。昔はノートに日記を付けていたけれど、ノートを持ち歩かなければいけなかったので、ブログ形式でWeb更新出来る様に変えたのがきっかけ。

彼女は偉い

多分、自分のブログで初めて彼女を褒めると思う。


彼女は偉い。


毎回言っているが決して彼女は『出来る女』では無い。どちらかと言えば確実に間違い無く『出来ない女』である。しかも天然。


でも、彼女は私から見て『天才』である。


直観力に優れ、『野生動物かお前?』というくらいカンが鋭い事がある。特に身の危険が迫っている時はほぼ100%カンに従ったほうが助かる。出来ない子で天然だがその優れた直感のお陰で今日まで無事生きてこられたようだ。


その彼女が自身の自立を掛け、転職模索中らしい。所謂、新卒採用で温い就活をして仕事についていた彼女。いろいろ有って最初の会社を辞めて流れ流れて私のいる会社へ流れ着く。そこは『教育的指導』の元、今は無きスパルタ教育で後輩をしごき抜く私が教育担当で陣取る部署だった。


他の課の課長さん達がこぞって『トマが厳しすぎて辞めちゃうんじゃない?』と言う位、厳しい訓練を課していた。殴る蹴る当たり前の指導。でも絶対に怒鳴らない。この子は大きな声に過剰に反応する事に指導当初から気が付いたから。指導内容が耳に入らなくなっては、怒る事は意味が無い。だから怒鳴る事はしなかった。


そうこうするうちに私が中国へ赴任する事になった。その頃には既に付き合い始めていたのだが。彼女は本当に地道に努力し、徐々に社会人としての素養を身につけて変っていった。回りも彼女の親も評価する程に良く変ってきた。


そしてやっとこさ、一人前になってきた昨今。自分が今の仕事に合わない事を認識し始めた。まあ、元から敷居が高い事は入社当初から明らかだった。才能とか何とか以前にやはり危険物を扱う仕事は女性には不向きなのだ。更に私の部署は苦情・クレーム処理を担当する部署だから精神的にも男性社員ですらキツイ仕事だ。過去に何人か病院送りになっているのも事実。


そんな部署に実力も素養も才能も全く足りない彼女が数年耐え抜いた。回りが評価してくれるほどに成長した。もう、社会人としては一人前だろう。


彼女は初めて自分の力で自分の能力と素養に適した『適職』を探そうと決意した。結婚して養ってもらえば働かないか、パートやバイトで食べていけるのに。彼女曰く『自分の食い扶ちは自分で稼ぐ』との事。出来ない子な割りに偉そうな事を言う。


彼女は偉い。


自分の実力を知ってその実力と能力で勝負出来て働き続けられる場所を求めて動き出した。彼女の判断はきっと正しいのだろう。ある日突然、直感に突き動かされて転職活動を開始したのだから。


理由はきっと彼女は解っていない。でもそう『感じた』のだろう。今がチャンスだと。それで職探しの方法を聞いてみた。聞くとこれが転職を繰り返した私が聞いても『大丈夫だな』と思えるような回答が返って来る。一体こいつの『万年春脳味噌』のどこにそんな言葉が収納されているのかと思う理屈を展開して見せた。しかも自らさっさと手を打っている。とても同一人物とは思えなかった。


だから安心した。こいつは一人でもやっていけるレベルに成長したなと。今までは私が居ないと駄目だったが、これからは一人でも食っていける。暮らしていける。恐らく、一人暮らしして実家からも独立できるだろう。(以前は挫折したようだが。)


私が目的としていた彼女の教育は一段落した。もうまともな社会人になる為に教える事も無い。後は『仕事人』として転職先でしっかりキャリアを積んで成長してもらえばよい。私の職場先輩としての責務は果たしただろう。もう解任でよいと思う。


彼女は良く頑張った。


彼女の未来に期待して私は離れて見守ろうと思う。