半導体は米中によるハイテクでの主導権争いの核心といえる分野だ。2017年に東芝が半導体事業の売り先を探したときも、日本政府には水面下でアメリカ政府から「米軍のサプライチェーンから中国企業を排除したい」として、買い手候補から中国企業を外すように強い要請があった。アメリカではいまや軍事のみならず、5G(第5世代移動体通信)など幅広い分野が「安全保障」の対象とみなされ、「中国外し」が求められるようになってきた。
新型コロナは、この流れを加速することになった。ハイテクをめぐる主導権争いは構造的に続いてきたが、「新型コロナの影響による供給不安」が、中国をサプライチェーンから外すための格好の理由になるからだ。
中国も防戦に必死だ。中国共産党にとっては、自らが経済成長のかじ取りであることが政権の正統性に直結する。新型コロナによって2020年1~3月期のGDP(国内総生産)は前年同期比6.8%減というかつてない悪化を示したが、その逆風の中にあって中国経済の基盤である、グローバルに結びついたサプライチェーンを維持することは最優先課題だ。国内では新型コロナ、国外では米国との摩擦という二正面作戦を取らざるを得ない。
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週刊東洋経済記事より。
中国がWHO世界保健機構の総会屋らであーでもないこーでもないと言い訳をしていたころ、アメリカでは第二第三の中国封じの手を打っていた。
世界最高クラスの半導体技術を持つ台湾企業、台湾積体電路製造(TSMC)はアメリカアリゾナ州に工場を作ると発表した。このTSMCの社長は元々、中国にもアメリカにも付かない。どちらとも商売をすると言ってのけた人物。
まさか全人代を行うこの大事な時にこんなニュースをぶつけてくるとは思わなかった。
アメリカトランプ大統領はこの発表直後に更なる追い打ちをかけてファーウェイがTSMCを含むアメリカ製半導体を使えないように法令を変えてきた。
5G覇権を巡る米中対立はコロナ騒ぎすら自分の武器に換えて、戦いを激化している。
日本はこのままアメリカの同盟を優先する構えだが、それにしたって、ただ追従と言う訳にはゆかないだろう。
中国は油断ならない相手だし、共産党は言わずもがな信用できないが、中国国民は決して、イコール中国共産党ではない。日本や他の世界も真っ青の超絶エリートが本気で人民のために命を投げ打つ覚悟だったりする国なのだ。
共産党=悪だからと決めつけ、中国人をイコール全部悪人と考えるのは非常に危険だ。
民衆はたとえ中国の人民だとしてもそこまで馬鹿ではない。むしろしたたかに、賢く生きている人が多い。大事なのは偏った見方だけでなく、広くその国を評価し、賢く友好することだ。どんなに強大な権力も、結局人から始まる。残念ながら、永遠に続く権力など存在しない。
いつになるかは判らないが、その時に中国人全部を排除していては大きく世界を変える側に立つことはできない。